本狂

 

本狂について

明治二十三年の寸法帖に「狂ひ人形」の寸法が残っています。本来の頭の大きさに背丈の寸法を短くして作ったものです。人形の寸法は白毫までのことをいいますが、「御所人形」「本狂」、「おぼこ」で、各当主により又各番頭により様々な寸法があり、寸法帖に記された寸法にそれぞれの主人の性格があらわれているようです。

「御所人形」「本狂」「おぼこ」はすべて子供の姿を写した人形の事です。

本狂は丸平ならではの製作法で、完成させたのは昭和三年に大木平藏を継いだ五世です。

御所人形の場合頭と身体を一体化して木彫り又は桐塑で形を作っていきます。腕に針金を入れ、綿や縮緬で肉附をつける形もあります。立稚児等の衣装着のものはこの形です。

特に頭と身体が一体になっていると裂の装束は非常につけにくいものなのです。五世の時代は丸平も隆盛を迎えた時代で人形をお好み下さる方々も、大変な数でした。皇室のご注文に加え、三井、三菱さんのご要望に応える為の専属の番頭がいたほどでした。

数多のご注文にお応えする為に、五世は「本狂」の製作方法を完成させました。言うなれば、大量生産?ですね。木彫の御所人形は非常に高価なのです。しかも本狂は御所人形の姿より、様々な形付けできます。面白い姿に作りやすいのです。それこそ、「面白うおんくるひ候へ」とあいなります。

 

「本狂」は装束をつけた後頭を差し込みます。「おぼこ」には頭に胸が付いた、胸付きと言う形がありますが、「本狂」は衿を抜く着付けがないので作り方が違います。「おぼこ」の姿は「御所人形」「本狂」の頭大が強調される幼児の三等身より子供に近いといえます。


本狂の羽衣の一例ですが、この様に装束を全て着せ付けてから最後に頭をさします。

ここへ入力

 

三宝持 五世

 

三宝に菱餅


春駒 五世